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所得税の確定申告で使う外国為替レートあれこれ

    
為替レート
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所得税の確定申告で使う外国為替レートあれこれ

 

今後のために、まとめとして為替レートについて書いておきます♪

 

参考記事:外貨取引があった時の計上は? 換算は?(↓こちらは法人税です)

外貨取引があった時の計上は? 換算は?

 

・国外財産調書の為替レート

まずこちら。国外財産調書の作成は、年末の時価で作成いたしますので、年末のTTB(買相場)を使用します。

 

・売上と費用の計上についての為替レート

基本的には「電信売買相場の仲値(TTM)」によって円換算することになります。

ただし、事業を行っている方などは、継続するという条件で、収入はTTB(買相場)、仕入・経費はTTS(売相場)でもOKです。

所得税基本通達 57の3―2

法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における「電信売相場」と「電信買相場」の仲値による。
ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額の計算においては、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費(原価及び損失を含む)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。

 

・国外で事業を行うときの為替レート

このような通達があります。

所得税基本通達57の3-7

国外において不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う個人で、当該業務に係る損益計算書又は収支内訳書を外国通貨表示により作成している者については、継続適用を条件として、当該業務に係る損益計算書又は収支内訳書の項目(前受金等の収益性負債の収益化額及び減価償却資産等の費用性資産の費用化額を除く。)の全てを当該年の年末における為替相場により換算することができる。

(注) 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、収入金額及び必要経費の換算につき、その年において当該業務を行っていた期間内における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値を使用することができる。

たとえば、海外に不動産があって、不動産収入を得られているようなケース。

入金や支出も現地通貨で行っていて、管理会社から損益計算書のようなものが報告されるので、それを日本の申告に使いたい・・・というときには、継続適用で、年末におけるTTM(仲値)で換算していくケースも考えられます。

 

・資産の譲渡についての為替レート

外国に赴任していたときに購入して住んでいた物件、投資物件など、土地や建物を売却したときには、一番上の「所得税基本通達 57の3―2」に従い、
取引日の電信売買相場の仲値で換算することになります。

ただ、不動産を売却してすぐに円にしたときには、TTB(買相場)で譲渡所得の計算をすることができます。

取得費の計算においても同様ですので、購入した日とされるときの電信売買相場の仲値で換算することになります。

 

・株式の譲渡についての為替レート

株式については、別の規定があります。

措置法通達 37の10・37の11共-6の一部

一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、株式等の譲渡の対価の額が外貨で表示され当該対価の額を邦貨又は外貨で支払うこととされている場合の当該譲渡の価額は、原則として、外貨で表示されている当該対価の額につき金融商品取引業者と株式等を譲渡する者との間の外国証券の取引に関する外国証券取引口座約款において定められている約定日におけるその支払をする者の主要取引金融機関の当該外貨に係る対顧客直物電信買相場により邦貨に換算した金額による。
また、国外において発行された公社債の元本の償還により交付を受ける金銭等の邦貨換算については、記名のものは償還期日における対顧客直物電信買相場により邦貨に換算した金額により、無記名のものは、現地保管機関等が受領した日における対顧客直物電信買相場により邦貨に換算した金額による。
なお、取得の対価の額の邦貨換算については、対顧客直物電信売相場により、上記に準じて行う。

譲渡収入については、TTB(買相場)、取得費・譲渡費用については、TTS(売相場)となります。

 

・為替換算レートについて

一般的に為替レートには、TTS、TTB、TTMという3つがあります。

・電信売相場 「TTS」と略されます ~ 銀行さんが私たちに外貨を売る時に使うので、sell(売る)。 つまり私がたちが買う時のレートです。

・電信買相場 「TTB」と略されます ~ 銀行さんが私たちから外貨を買う時に使うので、Buy(買う)。つまり私がたちが売る時のレートです。

・仲値 「TTM」と略されます  ~ 仲値(なかね)は、銀行が私たちと為替取引をする時の基準レートです。

これらのレートは、その方の主たる取引金融機関のものによることになりますが、合理的なものを継続して使用している場合には認める、とされています。
換算したい日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場によります。

 

・為替差損益について

100円で1ドルを購入し、その後円に交換した時に120円になっていたときには、差額の20円部分は、為替差益といいまして所得を認識します。
私が、税理士受験時代には、為替差益=雑所得という所得区分で覚えました。

実際には、雑所得になるケースのほか、譲渡の利益に含めて計算するケースもあります。

 


◆◇今日のつぶやき◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
先日、久しぶりにIKEAに行ってきました。相変わらず広い売場です。
アメリカにいたときには「アイケア」と呼んでましたが日本では「イケア」呼び。ようやく慣れてきました。

 

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