退職金を支払う時の税金と手続き
退職金は、必ず支払うべきな給与・賃金ではないです。退職金は、就業規則に記載があり、条件が満たせば支給されるのですが、、、、
社長の好意で!?超特別に支給するというケースでは、税金はどのようになるでしょうか。今回は経理目線として記事をかきます。
・所得税について
退職金については、所得税では「退職所得」という所得に区分されます。退職金に多額の税金がかかったら、その後の生活がままならないということで、税金の計算は軽くなっています。
そこでの計算は、
1、収入金額(源泉徴収される前の金額)
2、退職所得控除額 (最低80万円)
3、 1-2
4、 3の金額×1/2 → 退職所得の金額
まず、80万円以下でしたら所得税はかかりません。
2、の退職所得控除額は勤続年数を元に計算します。
勤続年数が20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)となります。
勤続年数が20年を超える 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
※障害者になったことで退職した時は、上記の控除額に100万円を加算します。
4、の1/2(半分)の計算をするのは、一般の方!?のケースです。役員で勤続年数が5年以下の方が支給を受けるとき(平成25年以後は)1/2計算は行いません。
4、の計算ののち、退職所得を算出したら、千円未満の端数は切り捨てまして、所得税の税率をあてはめて所得税の計算を行います。復興特別所得税もお忘れなく!
※参考 国税庁ホームページにもある退職所得の源泉徴収税額の速算表を使うと便利です。
退職金について、所得税が発生するときは源泉徴収を行います。納付もお忘れなく!
・「退職所得の受給に関する申告書」の提出を求める
上記の計算から、「勤続年数」の計算がいかに重要かわかっていただけると思います。
中には、会社役員さんなど 1年に2回以上退職金を受け取るケースもあります。勤続年数を正しく計算するために、それらを記載いただく「退職所得の受給に関する申告書」の提出を求めます。
ちなみに、こちらは退職金の支給までに提出いただくものです。
また、この「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない時は、所得税の源泉徴収額は上記の計算ではなく、退職金の支給額に20.42%の税率を乗じて計算した所得税&復興特別所得税の額を源泉徴収しなければなりません。
・勤務年数とは
勤続年数は、就職日から退職日を計算します。休職の期間があっても期間に含めます。
例1:就職日 平成19年4月1日 退職日 平成28年3月31日 → 9年
例2:就職日 平成19年4月1日 退職日 平成28年7月31日 → 9年4ヶ月
→1年未満の端数は1年に切り上げできますので 10年となります。
前年以前に退職所得を受け取ったことがあるときや、同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときは勤務年数の計算が少し複雑になります。
・住民税も計算して納める
所得税が算出された方は、住民税も発生しますので源泉徴収をいたします。
税金計算は、
退職所得の金額 × 市町村民税(特別区民税) 6%
退職所得の金額 × 道府県民税(都民税) 4%
※総務省のサイトに速算表があります → http://www.soumu.go.jp/main_content/000189437.pdf
住民税についても納付が必要です。特別徴収を行っていない役所(自治体)でしたら、納付書を郵送していただく必要があります。あらかじめ取り寄せしておきましょう。
・退職所得の源泉徴収票 特別徴収票
退職金の支払いをした時は、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を退職者に交付しなければなりません。給与所得の源泉徴収票とちがい、所得税と住民税を記載します。たとえ源泉徴収した所得税がゼロでも、特別徴収する住民税がゼロでも、発行&交付は忘れずにおこないます。
また、税務署、役所へも提出する事務があります。 いろいろ気がつくことが多いので、忘れずに行いましょう。
退職金は、分離課税と言って他の事業所得、不動産所得などと一緒に所得税計算を行わず単独で所得税を計算します。ごくまれに確定申告すると有利なケースもあるのですが、基本は確定申告しないでいいものです。
◆◇今日のつぶやき◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
辞表は、取締役など役員や公務員の方が書くもので、役職についてない方は、退職願・退職届だそうです。
引き留められたら辞めない・・・っていう場合は、退職願で、撤回できないのが 退職届というようです。(テレビネタ)